読売新聞の調べによると、新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け接種について、道府県庁所在市など全国74自治体で、5月中に施設入所者以外の一般の高齢者への接種を始めるのは7割の52市区になることが分かった。すでにワクチン接種を始めているのは2割の16市区。
大型連休明けに各地で接種が本格化する。日本政府は7月末までの完了に向け、スケジュールの前倒しを求めている。
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養護施設や里親家庭出身者の8割が中学・高校卒 厚労省が初調査
ケアリーバー(社会的養護経験者)の調査によると、虐待などのため親元で暮らせず、児童養護施設や里親家庭などで育ったことがある若者の最終学歴は、中国卒・高校卒が8割を占める一方、大学や短大、専門学校などを卒業したのは1割強にとどまることが分かった。
4月30日に厚生労働省が発表した。同省が施設などを出た後の具体的な状況を調査したのは初めて。彼らが、教育の機会を得にくいことや、苦しい暮らしぶりの実態が浮かび上がった。調査対象年齢は2020年11月時点の15歳以上で、18~24歳が9割を占めている。
退所直後の進路は、就職・就労が53.5%だったのに対し、進学・通学は36.3%だった。調査時点の状況は「働いている」が71%、「学校に通っている」が23%だった。「働いている」と答えた人に最終学歴を聞いたところ、約8割が中学・高校(全日制と定時制、通信制)卒業で、4年制大学2%、短大・専門学校は10.6%にとどまった。大学・短大などの高等教育進学率は一般的に8割以上だが、社会的養護出身者の進学率が際だって低いことが分かる。
家計については、毎月の収入と支出のバランスが同じくらいと答えたのは31.4%。支出が多く赤字と回答したのは22.9%だった。回答者のうち子どもがいる145人は4割「赤字」と回答。
調査は2015年4月~2020年3月、中学卒業以降で児童養護施設などの施設への入所や、里親委託の措置が解除された2万690人」を対象に実施。うち2,980人から回答を得た。
高齢患者「入院順位下げざるを得ない」保健所にメール
大阪府庁で新型コロナウイルス患者の入院調整などを担う幹部職員が、病床ひっ迫を理由に高齢患者について「入院の優先順位を下げざるを得ない」とするメールを4月19日に府内全18の保健所長らに送信していたことが分かった。府が30日明らかにした。府は不正確な表現だとして内容を撤回し、幹部職員を厳重注意した。この幹部職員は健康医療部で医師資格を持つ技術系職員トップの医療監。
名大病院とIIJ 在宅医療介護連携のコロナ対策プロジェクト開始
名古屋大学医学部附属病院とインターネットイニシアティブ(IIJ)は4月28日、2017年度から健康医療信託事業の一環として導入を進めている在宅医療介護連携システム「IIJ電子@連絡帳サービス」の愛知県における利用が35行政から46行政に拡大し、併せてこの46行政が2021年2月10日に「電子@連絡帳に関する広域連携協定書」を締結したと発表した。電子@連絡帳は、高齢者の在宅医療介護に関わる行政や各専門職が相互に情報連携するためのICTプラットフォーム。
また、この協定の締結を受け、名大病院は東海地域の中核病院の一つとして、新型コロナウイルスの感染状況がさらに増悪した場合、新型コロナウイルス感染症から医療従事者、介護事業所スタッフおよびサービス利用者を守り、地域の在宅医療介護の崩壊を回避することを目的とした「新型コロナウイルス感染対策支援プロジェクト」2021年4月より開始したことを公表した。
SOMPOケア 介護事業所10カ所で家族型ロボット試験導入開始
SOMPOケア(本社:東京都品川区)は4月28日、運営する介護サービス事業所10カ所で、ロボット開発ベンチャー、GROOVE X(本社:東京都中央区)が開発した家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」の試験導入を開始したと発表した。
LAVOTが介護施設における日常生活の一部となって、人と人との温かなコミュニケーションを育み、人とテクノロジーの共生による心豊かな暮らしを提案することを企図する。
がん10年生存率59.4% 前立腺がん98.7%、乳がん87.5%
国立がん研究センターは4月27日、2008年にがんと診断された人の10年後の生存率を発表した。胃や大腸など、がん全体で59.4%だった。がんの種類別では、10年生存率が最も高いのは前立腺がんで98.7%。以下、女性の乳がん(87.5%)、子宮内膜がん(83.0%)、子宮頸がん(70.7%)、大腸がん(67.2%)などが続いた。生存率が最も低いのは膵臓がんでわずか6.5%。次いで小細胞肺がん(9.1%)、肝内胆管がん(10.9%)、肝細胞がん(21.8%)の順だった。
専門的ながん医療を提供している全国240施設の約24万症例を対象にした調査で、これまでに発表された10年生存率の統計で、最も大規模なもの。
リコージャパン 介護施設の統合見守りシステムを提供開始
リコージャパン(本社:東京都港区)は4月22日、介護福祉施設現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するソリューションとして、様々なエッジデバイスと連携し、ワークフローのデジタル化を実現する統合見守りシステム「リコーけあマルシェ」を同日から全国で提供開始すると発表した。
リコーけあマルシェ、介護施設の利用者それぞれに最適なセンサーやカメラなどのデバイス、システムを選択し、これらの情報から離床、排泄、睡眠などの状況や生活リズムを把握することで、利用者の生活に合わせた介護サービスを提供する見守りシステム。
これにより介護スタッフは計画的かつ効率的な順番での訪室が可能となり、対応した記録をスマートフォンのアプリから簡単に登録できるため、施設職員に対してリアルタイムに情報共有ができるようになる。
大阪メトロG 市内3エリアでオンデマンドバスの社会実験
大阪メトログループは3月30日から大阪市生野区と平野区の合わせて3エリアで、利用者が予約した日時や乗降場所に合わせて運行する「オンデマンドバス」の社会実験を始めている。運賃は大人210円、小児110円と市内を走る路線バスと同金額。使用している車両は、最大で8人乗りの乗客が乗れるワンボックス車。同実験は9月末までの予定。
オンデマンドバスは、運行する時間とルートが決められている路線バスとは違って、利用者が希望する乗車日時や出発地、目的地に応じて柔軟に運行するバス。複数の利用者が乗車する際、AI(人工知能)によって最適なルートを割り出して運行する。
社会実験が行われているのは生野区西部、平野区加美周辺、平野区長吉東部の3エリア。利用者はスマートフォンのアプリや電話を使って配車予約するときに、乗車したい時間やバス停、目的地のバス停などを指定する。運行時間は午前6時から午後11時までの間。バス停は各エリア内におよそ300m間隔で設置されており、生野区西部に73カ所、平野区加美に66カ所、平野区長吉東部に51カ所ある。
大阪市は、自宅から最寄りのバス停までの移動が困難な高齢者が増え、買い物や病院への通院が思うようにできない「ラストワンマイル問題」の解決策として、自宅近くまで配車できるオンデマンド交通(バス・タクシー)の導入を検討している。
中2の5.7% 高2の4.1%が家族ケア 政府初のヤングケアラー調査
政府は4月12日、全国の教育現場に対する、家族の介護・世話をする子ども「ヤングケアラー」の初の実態調査結果を発表した。その結果、公立中学2年生の5.7%(約17人に1人)、公立の全日制高校2年生の4.1%(約24人に1人)が「世話をしている家族がいる」と回答し、1学級につき1~2人のヤングケアラーがいる可能性がある。誰にも相談せず・できず、孤立しがちな実態や、健康・学業への悪影響も全国的に初めて裏付けられた。
中2、高2ともにケアの頻度は「ほぼ毎日」が4割強を占め、週3~5日、週1~2日が各1割台。平日1日あたりのケア時間は平均約4時間で、「7時間以上」と回答した生徒も約1割いた。また1割前後は協力者がおらず「自分のみ」でケアをしていた。
ケアの内容は、食事や掃除・洗濯などの家事、保育園などの送迎、障害や精神疾患のある家族の感情面のサポート、外出の付き添い、入浴・トイレの介助など多岐にわたる。誰にも相談した経験がないのは中2で67%、高2は64%。
調査は2020年12月~2021年1月、47都道府県の人口に応じて全体の1割にあたる中学1,000校の中2(約10万人)、全日制高校350校の高2(約6.8万人)にウェブ上で回答を求めた。回答数は中2が5,558人、高2が7,407人。
ベトナム政府 海外への労働者派遣 21年は9万人を計画
ベトナム・現地メディアによると、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省は2021年の海外派遣労働者数の目標を9万人に設定した。新型コロナウイルスの流行で低調だった2020年を14.4%上回る水準。
2020年に海外に派遣された労働者数は7万8,641人(うち女性が2万8,786人)で、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、年間計画の60.5%にとどまっている。ちなみに、2019年実績は15万人強だった。
労働・傷病兵・社会問題省傘下の海外労働管理局によると、海外労働者派遣事業ライセンスを取得した企業は現在506社を数える。また、労働契約が切れたものの、新型コロナウイルスの影響で帰国できない労働者が2万6,000人余もいるという。