「アジア-社会」カテゴリーアーカイブ

外国人 就労1年で転職可能案→自民党案で3年に逆戻り

外国人非熟練労働者の受け入れ資格の技能実習に代わる新制度案が混迷しそうな情勢となってきた。問題山積の技能実習制度による”負の経験”が、全く改善に生かされないところまで論議が戻りつつある。
政府の有識者会議は10月に、原則1年超で転職可能の報告書をまとめた。ところが12月12日、自民党の特別委員会で示された案は一転、3年間は特定の企業などで就労すべきだとする現行制度の内容に戻ってしまったのだ。政府の有識者会議で積み重ねられた議論は何だったのか?政府と自民党の間で政策調整が不全に陥っているのか?目先の党利党略で決められていい問題ではないはずだ。

金属労協 24年春季 過去最高のベア1万円以上要求方針決定

自動車や電機などの労働組合が加盟する金属労協は12月6日、2024年春季労使交渉で基本給を底上げするベースアップで月1万円以上要求する方針を決めた。増額は2年連続で、要求額は過去最高水準だ。金属労協は自動車労連、電機連合、基幹労連、ものづくり産業労働組合JAM、全電線の5つの産別労組で構成し、組合員約200万人が加盟する労働団体。

貧困状態の子ども 先進43カ国で6,900万人以上 ユニセフが報告書

ユニセフ(国連児童基金)は12月6日、日本や欧米などの先進国の子どもの貧困が全体として減少しているものの、なお貧困状態にある子どもがいぜん6,900万人以上に上るとする報告書を公表した。これは、OECD(経済開発協力機構)やEU(欧州連合)に加盟している43カ国を対象に調べたもの。
2014年から2021年にかけて子どもの貧困率は全体でおよそ8%減少した。ただ、それでも2021年末時点でいぜんとして6,900万人を超える子どもが貧困状態にあると指摘している。
日本の子どもの貧困率は、2014年までの3年間の平均が18.2%だったが、2021年までの3年間の平均が14.8%に減少し、調査が行われた各国のうち8番目に改善が進んだとしている。

生活保護訴訟 「重大な過失」名古屋高裁が国に賠償命令

名古屋高裁で11月30日、生活保護受給者の生活の根幹に関わる控訴審判決があった。これは2913〜2015年の生活保護費の基準額引き下げは違法として、受給者13人が自治体による減額処分の取り消しや国に賠償を求めた訴訟。
長谷川泰弘裁判長は「著しく合理性を欠き、裁量権を逸脱している」として処分を取り消したうえで、国に1人あたり1万円の支払いを命じた。厚生労働相に対して「重大な過失がある」とし、生活保護法に加え、国家賠償法上の違法も認定した。原告弁護団によると、同種訴訟で国への賠償命令は初めて。

23年出生数70万人台前半か 出生数8年連続最少へ

少子化に全く歯止めがかからない。厚生労働省が11月24日発表した人口動態統計によると、2023年1〜9月の出生数(外国人含む、速報値)は56万9,656人にとどまり、前年同期比5.0%減少した。これを基に試算すると、2023年の日本人の年間出生数は70万人台前半と、8年連続過去最少を更新する見通しとなった。
政府が喫緊の課題として掲げる、少子化対策の声は挙がっているが、現実には婚姻・妊娠数にはほとんど反映されておらず、現時点ではいぜんとして出生数増には全く結びついていない。

雇用保険の加入条件緩和へ「週10時間以上勤務」も 500万人が対象

厚生労働省が雇用保険の加入条件の一つとしている週の労働時間について、現行の「20時間以上」から「10時間以上」に緩和する方向で検討していることが分かった。これにより新たにおよそ500万人が加入する見込み。共働き世帯や短時間労働者など多様な働き方が増加している中、現実に即して制度も見直す。2028年度までに拡大する。年内に厚労省の審議会で原案を示し、2024年の通常国会に関連法案を提出する。

外国人労働者の新制度「就労1年超」で転職可 最終報告案

政府の有識者会議は11月24日、外国人労働者受け入れのあり方について、非熟練労働者の受け入れ資格である技能実習制度に代わる新制度の最終報告書案を示した。新制度の基本的な考え方は「育成就労で、目的は人材育成と人材確保。
この骨子は、3年間の就労が基本だが、①1年超の就労と日本語能力(N5合格相当)・技能などの要件を満たせば同一業種内で転職が可能②人権保護に配慮しつつ、金銭負担を軽減するため来日手数料を受け入れ企業と分担③特定技能1号へのキャリアアップを目指すーなど。政府はこの最終報告に基づき、2024年1月召集の通常国会に関連法案の提出を目指す。

厚労省 緊急避妊薬11/28から試験販売 全国145薬局 16歳以上

厚生労働省は11月17日、望まない妊娠を防ぐために性交後に服用する「緊急避妊薬(アフターピル)」を、28日から医師の処方箋なしでの試験的な薬局販売を開始すると発表した。緊急避妊薬はノルレボ錠とジェネリック医薬品のレボノルゲストレル錠。性交後72時間以内に飲むと高い確率で妊娠を回避できる。
都道府県の2〜3店、全国145薬局で順次販売するという。対象は16歳以上で、18歳未満は保護者の同伴が必要。販売価格は7,000〜9,000円程度。

政府 在留資格ないスリランカ人に親子に初の「在留特別許可」

政府は11月17日、在留資格のないスリランカ人親子に初の「在留特別許可」を出しことが明らかになった。今回許可を受けたのは、茨城県内に居住する7歳と5歳の男の子と両親。
両親は2012年に技能実習生として来日。その後、母国に帰ると政治的な対立で身の危険が及ぶ恐れがあるとして難民申請していたが認められず、その途中に在留資格を失っていた。
政府は今年8月、親に国内で重大な犯罪歴がないなどの一定の条件を満たせば、日本で生まれ育った在留資格のない外国人の子どもに日本での滞在を認める「在留特別許可」を与える方針を決めた。今回の措置はこの方針を受けたもの。

9月の実質賃金2.4%減 18カ月連続マイナス 物価高に追い付かず

厚生労働省が11月7日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、1人あたりの賃金は物価を考慮した実質で前年同月比2.4%減少した。マイナスは18カ月連続。マイナス幅は前月の2.8%からやや縮小したが、いぜんとして物価高の勢いに賃金上昇が追い付かない状況が続いている。