「アジア-社会」カテゴリーアーカイブ

22年の有給取得率62.1% 初の6割超え 義務化が追い風

厚生労働省がまとめた2023年の就労条件総合調査によると、2022年の労働者の年次有給休暇の取得率は62.1%となり、初めて6割を超えた。2019年の52.4%10ポイント近く上昇した。同年、労働基準法が改正され、年5日の有休取得が義務化されたことが追い風になった。有休取得率は2000年〜2010年代にはほぼ40%台で推移していた。ただ、これでも政府が目標としている「2025年までに70%以上」の取得にはまだ隔たりがある。
調査は労働者30人以上の企業6,421社を対象に実施し、有効回答率は58.7%。1人あたりの有給休暇の持ち分は平均17.6日で、実際の取得日数は10.9日だった。

働く高齢者 国負担で送迎 24年度から地方の就労支援 厚労省

厚生労働省は移動手段の少ない地方に居住する高齢者の就労を支援するため、国が費用を負担する形で職場への新たな送迎制度を設ける。全国シルバー人材センター事業協会に委託する。2024年度からモデル事業として開始。まず数十カ所で実施し、将来全国展開できるようにする予定。
近年、高齢ドライバーの交通事故が多発したことも加わって免許返納した人が大幅に増加。半面、これを理由に他に移動手段を持たない高齢者は、就業を諦めるケースが増えている。これをサポートし、希望者が通勤しやすい環境を整える。

技能実習に代わる新制度案を提示 政府有識者会議 転職要件緩和

外国人労働者のあり方を議論する政府の有識者会議は10月18日、技能実習に代わる新制度のたたき案を示した。
この要点は①1つの企業で1年を超えて働き、基礎的な技能と日本語能力試験「N5」に合格すれば別の会社に転職できる。ただ、農業から建設業といった業務分野を変える転職はできない②最初の在留期間は3年間とする③より高度な技能試験に合格し、日本語能力が下から2番目の「N4」相当になれば、同じ業務で「特定技能1号」の資格に移れる。これに伴い、さらに最長5年間働き続けられる④試験に不合格でも、最長1年在留できる救済措置を設ける⑤特定技能2号の試験に合格すれば在留資格の更新回数の制限はなくなり、長期就労が可能になる⑥外国人労働者が来日前に借金を背負わないように、受入企業が来日前の手数料を負担する仕組みの導入を検討する⑦人材受け入れを担う監理団体の要件を厳格化し、受入企業と役員の兼務を制限するーなど。
今秋の最終報告書を踏まえ、2024年1月の通常国会に提出する予定。

斉藤国交相 人手不足のバス運転手「特定技能」に追加検討

斉藤鉄夫国土交通相は10月10日、外国人労働者の在留資格「特定技能」の対象にバス運転手を追加するため、関係省庁と調整を進めていることを明らかにした。斉藤氏は運転手不足に伴い、バスの減便や路線廃止などが相次いで要ることに触れ、「地域住民や観光客の移動手段の確保の面から、国交省としても危機感を持って受け止めている」と語った。
関係者によると、政府は2023年度中にトラック、タクシー、バスの運転手など自動車運送業を、特定技能の対象に追加することを目指している。

22年の技能実習生の失踪者は9,000人超 過去2番目の多さ

関係者によると、技能実習生として日本に在留している外国人はおよそ32万人いるが、2022年に技能実習生として在留しながら行方が分からなくなった外国人が9,006人に上り、2018年の9,052人に次いで過去2番目の多さだったことが分かった。国籍別ではベトナムが最も多く、6,000人以上となっている。
技能実習生は原則、転職が禁止されているが、より高い賃金を求めたり、事前の約束と異なる職場環境・条件を嫌気し失踪したケース多い。
こうした状況を受け、政府の有識者会議では、既存の技能実習制度を廃止し、新たな制度を創設することで議論されている。

最低賃金 全国平均で時給1,004円に 10/1から順次引き上げ

最低賃金が10月1日から順次、全国の都道府県で引き上げられる。今年度は全国平均で過去最大の43円引き上げられ、時給1,004円となった。47都道府県一律に実施とはならないが、東京都や大阪府など29の都道府県で10月1日から適用される。
引き上げ後の時給は高い方から東京都の1,113円、神奈川県の1,112円、大阪府の1,064円などとなっている。低いのは岩手県の893円、徳島県と沖縄県の896円、秋田県、愛媛県、高知県、鹿児島県の897円などが続いている。東京都と岩手県で最高・最低で220円の差がある。

「年収の壁」対策 130万円超でも2年まで被扶養者 政府正式発表

厚生労働省は9月27日、年収が一定額を超えると社会保険料の支払いが生じて手取り額が減少する「年収の壁」対策に関する支援強化パッケージを正式に発表した。社会保険料の負担が発生する2種類の年収基準について、それぞれ対応策を示した。
まず、会社員ら厚生年金の被保険者に扶養される人で、従業員100人以下の企業に務める場合、現状は年収が130万円を超えると扶養から外れ、社会保険料を自ら支払うことになる。このケースの場合、厚労省は10月以降、一時的な増収であれば連続2年までは扶養にとどまることができるようにする。
次に、従業員101人以上の企業に務める被扶養者の場合、月額賃金8.8万円以上(年収換算でおよそ106万円以上)といった要件を満たすと、現状は厚生年金に入る必要がある。このケースでは、厚労省は賃上げや保険料の相当額を手当として支給し、労働者の厚生年金への適用を促した企業に1人あたり3年で最大50万円を助成する。
労働時間を延ばす場合にも対応する。週の所定内労働時間を4時間以上延長すると、1人あたり30万円を助成する。

首相「年収の壁」対策表明 10月から実施 週内にパッケージ決定

岸田首相は9月25日、パート労働者らの年収が一定額を超えると社会保険料負担が生じて手取り額が減少する「年収の壁」について、支援強化パッケージを週内に決定し、最低賃金が改定される10月から実施すると表明した。
首相は支援策として社会保険料を納める必要が生じた場合に手取り収入が減少しないよう支給する「社会保険適用促進手当」を創設すると表明。また、賃上げに取り組む企業には、労働者1人当たり最大50万円を支給する助成金制度も新設する。

65歳以上の就業者912万人と過去最多 就業者の7人に1人

総務省が9月18日の「敬老の日」を前に17日発表した統計によると、2022年の65歳以上の就業者数は前年より3万人増えて912万人だった。1968年以降で過去最多を更新した。就業者数に占める働く高齢者の割合は前年比0.1ポイント上昇し13.6%と過去最高となった。就業者の7人に1人を高齢者が占めている。
65歳以上の就業率は25.2%だった。年齢別にみると、65〜69歳は50.8%、70〜74歳は33.5%となっている。少子高齢化の進行で生産年齢人口が減少が続いており、高齢者の働き手が人手不足を補う形となっている。

日本の65歳以上の高齢者 1950年以降で初の減少も3,623万人

総務省の9月15日時点の人口推計によると、65歳以上の高齢者は比較可能な1950年以降、初めて減少し3,623万人だった。ただ、総人口に占める割合が29.1%と過去最高で、世界200カ国・地域の中で最も高くなっている。また、75歳以上の人口は初めて2,000万人を超え、総人口の10人に1人が80歳以上となった。